ゲーム保存協会 Game Preservation Society

イベント【4年目の活動報告およびゲーム保存に関する講演】のお知らせ

日ごろNPO法人ゲーム保存協会の活動に関心をお寄せいただいております皆様に、イベントのお知らせをいたします。
今回のイベントでは、今年度一年間の活動報告、そしてアーケードゲームプレイの保存、PC-88VA2の修理について講演します。

日程
2015年7月25日・土曜日
13:00開始(15:30頃終了予定)
場所:八重洲フィナンシャルビル 7階・D室
JR東京・駅八重洲中央口から徒歩2分
東京メトロ・日本橋駅B3出口から徒歩3分
参加無料・予約等なし

講演詳細

担当:福田
【内容】
アーケードゲームプレイの保存:1つの提案としてゲームそのものを保存することや使用できる環境を保存すること、エミュレーションなどの開発も大切な保存活動ですが、ゲームの遊び方や攻略の方法などを残すことも大切なゲーム保存活動と言えます。
現在はインターネットを通じてプレイ動画の配信が可能なコンシューマー機も存在しており、野球やサッカーの試合を観戦するようにゲームプレイを観戦することやその動画の保存が可能となっています。
しかし古いゲームは当時のプレイヤーにしか分からない攻略などが多く存在し、プレイできる環境を用意することも困難なために、一部の有志によってプレイ動画が作成されているのみというものが現状です。
そこで今回のイベントではアーケードゲームでのプレイを保存する方法として、ひとつの提案となるものを皆さんに紹介させていただきたいと考えています。

担当:日下
【内容】
今のパソコンで「何もしてないのに壊れた」という人は大抵何かをやらかしているものですが、80年代の古いパソコンは本当に「何もしてないのに壊れる」ことがあります。今や実働するものが稀少な「PC-88VA2」(1988年製)の故障状態からの修理についてと、当時の機械に特有の事情をご紹介します。

収集のノウハウ、コレクションの把握と情報整理「書籍編」

攻略本研究家(収集家)の松原圭吾です。
違うジャンルのモノも収集していますが、今回はゲーム攻略本に限り、どのように13000冊以上の攻略本(ゲーム雑誌や関連書籍を含めると 25000冊以上)を収集したのかをお伝えしようと思います。


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写真:自宅のコレクション本棚の一部 出版社別、サイズ→ISBN順のため、シリーズ作品の見栄えはよくありませんが、省スペースで参照性に優れています。


 

■1990年~1995年
知的好奇心のままに書店で見つけたものを集めていました。
この時の手法は原始的な「記憶」です。
書店や古本屋を巡り、持っていないものを購入し、本のカバーや巻末に書いてあるシリーズ作品をチェックして、持っていないものを覚え、また探 しに。記憶力があれば徐々に揃います。
(中にはシリーズナンバーが重複していたり、広告だけで発売されなかった物もありました。)

■1995年頃
より完璧さを求めるため、「記録」としてパソコンで、存在するであろう本と、所持しているもののチェックリストを作りました。
次に、パソコンのリストを参考に、手帳に「探している本のリスト」を作りました。
全貌を把握できるのと、徐々にリストが埋まるのは楽しいですね。

この時点では、書店などで遭遇した本で、「探している本のリスト」にないもの は「記憶」に頼ることになります。
知らなかった本であれば新たな情報として購入したり、記録に追加。

■1998年頃
大量に集めて行くと遭遇した本が既に持っている本なのか「記憶」が曖昧になります。
したがって、手帳にも「既に持っている本のリスト」が必要になります。
しかし、数千冊全ての出版社やタイトルを記述するのは現実的ではありません。

新たな手帳の作成に際して、コレクションの情報整理とインターネット上での情報収集を行いました。
まだAmazonがない頃なので、紀伊國屋の書籍検索などで、知らない本があれば順次登録。
個々の書籍を重複なく示すものとして、ISBNが便利であると気が付きました。
シリーズ等で、似たようなタイトルの書籍があっても番号が別なら判別可能です。

手帳への表記に使用したのはISBNをできるだけ省略したものと、ISBNがなければ雑誌コード。
どちらもない例外的な作品のみタイトルを記述することにしました。
(ゲーム書籍は比較的新しいものなので、ISBNだけで9割以上、雑誌コードを入れて市販品のほぼすべてが網羅できます。)

ISBNは 4-XXXX-YYYY-Z と表記され、
X:出版者記号(2桁~7桁)
Y:書名記号
Z:チェックディジット
となっています。
(ISBN13は、日本国内でまだ出版者記号が飽和していないため、先頭に「978」 をつけるだけで、「978-4-XXXX-YYYY- Z」と表記され、チェックディジット計算式が異なるためにZの数字が変わる程度です。)

出版社を「あいうえお順」にページ分けし、書名記号だけ記述することにしました。


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写真:ファイル手帳に実際に記入したリスト

・「●」…所持している書籍
・「赤枠」…後から存在が判明したもの。「<YYYY」表記で追記対応


持っている書籍の後ろに●を打つことで所持チェックが出来るように。
書名記号の表記もできるだけ記述しなくて済むように工夫。
(もちろん、プリンターを使っての印刷でも良いです。)
0000→0000
0001→   1●
0020→  20
0025→   5●
0026→   6●
0036→  36

記述のない桁は上記の数字の繰り返し。
後から存在が判明したものは「<YYYY」という表記で追記対応。
あまりに数が多くなるようであれば出版社ごとページの作り直し。
そのため、取り外しができ、ページを増やせるリングタイプのファイル手帳にしました。

雑誌コードの方は、「○月号」のような定期刊行物の場合、毎年同じコードを使用する例があるため、「6」から始まる「ムック」の判断材料としての使用がメインとなりました。

「探している本のリスト」だけでは見逃す可能性のあった、「記憶」に無い本も、このリストであれば持っているかが判別でき、便利です。

現在20155月時点)
今ではスマートフォンでスプレッドシートを開いたり、データベースを持ち歩けるのでそちらで

チェックするのも可能ですね。

スプレッドシート(エクセル表のようなもの)をクラウドに置くことで、出先からでも閲覧可能。もちろん、表自体をタブレット等に保存しておけば、ネット回線がなくてもチェックできます。データベースは、PCで作ったものがそのまま持ち運べるため、ファイルメーカーの閲覧用ソフトを使っています。


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画像:スマホのスプレッドシートを利用したリスト

・左:ファイルメーカー閲覧用ソフト
・右:googleドライブのスプレッドシート


ショップでは「せどり」やネット価格をチェックする客の対策として「スマホ禁止」の店舗もあるので、そちらでは肩身の狭い思いをしています。

(※「競取り、糶取り」:古本用語、安く売っている本を買い、高く売って利ざやを稼ぐ行為。)

インターネット上での購入は、オークションを除き、ショップではISBN(ISBN13 バーコードを含む)での検索に対応しているところが殆どですので、「探している本のリスト」のISBNと連動して対応したISBNの商品ページを開くのが便利です。
あとは、それぞれのショップで「お気に入り」や「ほしい物リスト」「入荷通知」等を設定しておくことでしょうか。オークションでは「アラート」等の「キーワード設定」も重要ですね。

最後に
私の攻略本収集活動は、こんな感じで原始的な手法でした。
情報の収集(検索、記録)と、実際の収集(購入)ですね。
当時はどこにも攻略本の発行リストが無かったので、情報を蓄積して作るしかありませんでした。
他のジャンルでも、コレクターを見てすごいと思うところは、情報収集力だと思います。
「記録」せず全て「記憶」によって覚えている天才肌の人もいますね。

「記録」を補助として、記憶力はやはり重要だと思います。正確なタイトル名や ISBNまで覚える必要はありませんが、見たことのある本か、持っているかどうかは、なんとなくでも「記憶」しておきたいものです。
書店や古本屋で遭遇した本を、持っている本かどうか一冊一冊ISBNチェックなどしていられませんからね。

攻略本の情報はせっかく集めたものなので、同じように集めようとしている方に情報を活用していただき、浮いた分の時間や労力で更に高い目標へ向かって欲しいと思います。

これまでに私が収集し、整理した情報は以下で公開しています。
http://vgsearch.info/

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ゲーム保存協会 松原