ポイボスPART1by 古い男氏
大名マイコン学院より1984年11月に発売
概要
「ポイボスPart1~脱出~(以降ポイボスと略)」は、オイラが生まれて初めて徹夜したゲームです。日本において、初期の日本製RPGの名作といえば、やはりBPSの「The Black ONYX」があげられると思いますが、このゲームは、個人的には「純日本製」とは言い難いモノがあります。
本場のテーブルトークRPGの楽しさの要素を本当に理解しきった人たちが、日本人にもその面白さを広めるべく、コンピュータRPGとして巧くアレンジされた名作「Wizardry」の、スケールダウン的な性格を持っていると考えるからです。(スケールダウンと書くと「The Black ONYX」を「Wizardry」より下に考えていると思われがちですが、勿論そういう意味では無く、単に魔法要素の排除等といったシンプルな意味合いです)。そんな中で、Ultima型のトップビュータイプである「ポイボス」は、比較的オリジナリティに優れ、
日本人らしい感性でデザインされた作品として、是非後世に伝えていきたい作品だとオイラは思います。
ゲームの特徴
このゲームの優れている点は、そこかしこに見られる独特なシステムにあります。これは単に製作者が他のRPGをよく知らなかったのか、あるいは知っててワザとそうしたのか、だとしたらタダ者ではナイのですが、いずれにせよ他のRPGで見たような部分が少ない点です。
勿論、当時のパソコンの能力的に、自由度という点では現在のゲームとは比べるべくもありません。また欠点もありまして、処理速度が非常にのそのそとしていた点や、タイトルと画面の一部以外はグラフィックが未使用だった事などが残念ですが、それを補ってあまりある「クリエイターの、物語というモノに対する捉え方」が、現在のゲームの雛形を見ているようで、非常に独創的だったと思うのです。今考えると、さり気なく”日本人好きのする内容”だったと言えるでしょう。
文章:古い男氏(ありがとうございました!)
例えば戦闘シーンですが、すべてパーセント指定になっています。味方全員の働きをパーセントで指定したり、また敵グループの誰に攻撃力を割くか、といった決定を、1ターン毎に行うのです。 が、これが当時以外と戦略性に富んでいて面白かったのです。
こういった独特のシステムは、武器の取得が主に敵からの「おいはぎ」によるという理由や、あるいは戦闘ルーチンの簡素化といった理由からかもしれませんが、ちょっと他では類を見ません。(もしかしたら、古いAppleのゲームにあるのかもしれませんが・・・)
それに加えて、二十数人にも及ぶ多彩な登場人物達が、物語を彩るのです。「ポイボス」はマップ全体にフラグが散らばっていて、フラグを通過する順番はプレイヤーまかせ、すなわち「プレイヤーの数だけ物語が存在する」タイプのゲームなのですが、その個々の物語の途中で出会う仲間達は個性豊かな面々ばかりで、同じポイボス星人の二人を始め、様々な特殊能力で主人公ジョーグを助ける者、妙に臆病者で肝心な時にまるで役立たないヤツや、重要な場面でいきなりトンズラこくヤツ、味方を裏切る困ったちゃん等、プレイヤーを飽きさせません。
当時のゲームは、ビジュアル的にはイマイチで、「ポイボス」に限らず他も似たようなモノですが、そんな中で、当時イラスト付きの広告が雑誌に掲載された事は、プレイヤーの想像力の補完に大変役立ったのではないでしょうか? これはオイラの大変なお気に入りでもあります。でも当時プレイしていた知人が、有能な女性キャラ「ジラ」の顔を見て、酷くがっかりしていたのは少々可哀想でしたが(笑)。
最後に、非常に残念だったのは、結局「Part2」は発売されなかった事です・・・どうしたんだZAT SOFT!