【PasocomMini PC-8001使用レビュー】ウルサイ人が使うとどうなっちゃうのか!?(前編)

前回のレビューでは、自称初心者による初心者のためのレビューだった。

いくつも躓くところがあり貴重なレビューだったが、ではウルサイ人がこういうものを手に入れてしまうと何を始めるのか?というレビューが第二弾。

最後まで読んでもらえると嬉しいのだが、置いてけぼりにする可能性のあるレビューとなってしまった。

早速開始。

当たり前だけどバックアップをとろう!

というわけで、まずはSDカードのバックアップをとろう。

以前に発売された「PasocomMini MZ-80C」でもそうであったが、今回もRaspberryPiにそれぞれ固有のSDカードでしか起動しないようにプロテクトされているはず。

もともとRaspberryPi Zeroは初代とHWと2台所有しているので、試しに所有してるもので起動してみた。

所有している方は試してみてもらうとわかるが、PC-8001の画面が表示された後、数秒後に自動でシャットダウンしてしまう。プロテクトされているようだ。

#ホントはもっといろいろ調べたけど、言わないw

このSDカードが壊れてしまったり、設定を変更して元に戻せなくなってしまうと面倒。

ましてやLinux環境下でのエミュレータ動作である。突然の電源断でファイルシステムが壊れる可能性は高い。

そんなわけでバックアップだが、HAL研からは正式なバックアップ用のアプリケーションはこのレビュー執筆時点ではリリースされていない。

マニュアルなどにも、リリース後はSDカードが壊れたときの為に修復できるようなイメージの配布やアップデートも行うと書いてあるのが、現時点では不明である。

また2017年に発売されたPasocomMini MZ-80Cのときもバックアップツールの公開までは発売から2ヶ月程後であった。

そんなわけでツールが用意されていない段階でも自分でバックアップを取ることにする。

パソコンミニに添付されているマイクロSDカードは肉眼的にはApacer製の16GB、SDHC Class 10 USH-Iのものだ。

バックアップには、これと同等かそれ以上のものを用意しよう。

自分はこれを用意。Gigastone製の16GByte マイクロSDカードだ。近所のヨドバシカメラで2000円弱だった。

まず試しにPasocomMini MZ-80C用として配布されているバックアップツールを使ってみようとした。

しかし今回のSDカードはパーティションが切られており、2ドライブあるように認識されるため、この方法でのバックアップはできないようだ。

ということで、自分は素直にLinux環境を使う。日頃から自宅の環境もすべてLinuxなので、あまりどうということは無いが普通ではないのかもしれない。

簡単に言えばSDカードをマウントしてddすればいいだけ。

#Macは持ってないので知らない。

#WindowsでもDD for Windowsなどで出来るかもしれないが、やってない。ヒトバシラー求む

#この段階で誰も付いてこない気がしてきたw

自分の環境では/dev/sddにマウントされた。

折角なので、色々と見てみる。Windowsの環境ではLinuxパーティションの中などを簡単には見れないので。

 

root # fdisk -l
ディスク /dev/sdd: 14.4 GiB, 15489564672 バイト, 30253056 セクタ
ディスク型式: SD/MMC

単位: セクタ (1 * 512 = 512 バイト)

セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト

I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト

ディスクラベルのタイプ: dos

ディスク識別子: 0x50f09dfd

デバイス   起動 開始位置 終了位置  セクタ サイズ Id タイプ

/dev/sdd1           2048  8390655 8388608     4G  b W95 FAT32

/dev/sdd2        8390656 12584959 4194304     2G 83 Linux

 

14.4GibのSDカードにパーティション1は4GのFAT32、パーティション2は2GのLinuxファイルシステムがあるという構成だった。

16GBのSDカードなのに、何というもったいない使い方!

ラズパイの場合、起動後にRaspi-Configなどから使用しているSDカードのサイズに自動でパーティションを拡張するということができるのだが、無理だった。

 

とりあえず、バックアップ。

root # dd if=/dev/sdd of=./mini80.img bs=1M

14772+0 レコード入力

14772+0 レコード出力

15489564672 bytes (15 GB, 14 GiB) copied, 805.908 s, 19.2 MB/s

などとして、SDカード全体のイメージを作成しよう。

イメージを作成したら、SDカードをunmountし、バックアップをおこなうSDカードを挿入。

これを同じようにLinuxで認識。後はddコマンドのifとofを反対にするだけ。

root # dd if=./mini80.img of=/dev/sdd bs=1M
14772+0 レコード入力14772+0 レコード出力15489564672 bytes (15 GB, 14 GiB) copied, 2026.96 s, 7.6 MB/s

これでバックアップは完了だ。

早速このSDで起動してみよう。

うん、問題ない。

では、好きなだけイジろう!!

 

まずは普通に使う

まずは普通に使ってみることにした。

キーボードはUSB接続で使用することになっている。当時のゲームを楽しむならテンキーがあるものを用意したほうがいいだろう。

自分はキーボードにテンキーが無い人だったので、急遽キーボードを購入。

これ。780円だった。

もともとRaspiZeroを使っていたので、USBの変換やHDMIの変換は所有している。

この辺、どれを用意したらいいかは、前回のレビューを参考に。
USBは1つは電源、もう一つはUSBのキーボードなどデバイスを接続する形になる。このときキーボード+ゲームパッドなどで使いたい場合はハブを用意する必要があるのだが、ラズパイの電源は弱いので、ハブはセルフパワーのものを用意しよう。

本体に添付されたマニュアルはかなり簡略化されており、実際に使用しないとわからないことが多かったので、そのような操作を中心にレビューすることにした。

パソコンミニのサイトで詳細なマニュアルを公開すると記載があるが、レビュー時点では何も公開されていなかった。

とりあえず、色々なメニューを確認しつつ、その操作や機能を評価してみたい。

ファンクションキーのF7~12にエミュレーションの設定やBASICのリファレンス、16本のゲーム起動などのメニューが用意されているのは、既にいくつものレビューで記載されている通りだ。

F7、F8キーはいずれもこれらのメニューでの左右やページ送りに対応している。

F9でエミュレーションの設定が可能だが、これは後回しにして、他のキーから。

最初に注意だが、これらのメニューを表示しているときは、他のメニュー表示は抑制される。

つまりF11などでクイックリファレンスを表示中は、F9やF12などは抑制され、一旦F11でクイックリファレンスをクローズしてからしか別のメニューを表示できない。そういう仕様のようだ。

F10は前回のレビューでも書かれていたが、エミュレーションを終了しラズパイをシャットダウンするためのメニューだ。

長押しすると、シャットダウンするかどうかのダイアログが表示される。ここはキーボードの矢印で選択することになる。

当然キャンセルすれば、もとのエミュレーション状態に戻る。

レビューでも指摘されていたがPC-8001のエミュレーション画面が表示されているとき以外は操作できない。別なメニューを表示しているとか、ゲームを選択する画面であるとかの場合は無効なため、戸惑うかもしれない。

F11はPC-8001のエミュレーション中にオーバーレイする形で表示されるクイックコマンドリファレンスである。


F7、F8でページ送りができる。一般的なベーシックコマンドやキャラクター表が表示されるが、あくまでクイックリファレンスであるということ。

当然、動作の詳細に関しては記載はなく、(例えばWIDTHコマンドでDMA動作が再開するなど)当時の資料がないとわからない。

またオーバーレイというのも問題で、写真のようにPC-8001の画面右側が半分程度隠れてしまう。

半透明などではないので、完全に見えなくなるのが、ちょっと使いにくい。

もう一度F11を押すと、オーバーレイが消えるようになっている

F12は収録されているゲームを起動するためのメニューだ。

 




メニューからもう一度F12を押すとPC-8001のエミュレーション画面に戻る。

ゲーム毎の簡単な操作方法の説明などが記載されている。

起動するとロード画面などなく、いきなりゲームが起動している状態にエミュレーションが変わる。要するにステートセーブした状態に復帰する感じだ。

注意する点としては、それまでの状態は完全に入れ替わってしまい復帰させることが出来ない。プログラム入力中にちょっと遊んで、元に戻りたいなど思った場合は、プログラムを保存するか、その状態をステートセーブしておいてから起動しよう。

そして前後したがF9でのメニュー説明である。

ここにはエミュレーターの設定を行うなどいくつかのタブで区切られたメニューが存在する。それぞれのタブではカーソルの上下、左右などで設定し、SAVE PARAMETERSで設定が反映される。

このメニューを起動するとエミュレーションは一時停止状態になる。STATE SAVEなどが行えるが、それはメニューを開いた直前状態でセーブされるということだ。

タブメニューを順番にみていくことにする。

MACHINE、PCG8100、MEDIA、STATE、CONVERT、GAMEPAD、DISPLAYのメニューが存在する。

 

MACHINE

PC-8001本体のエミュレーションに対して、JPもしくはUSキーボードの配列切換やNUMLOCKのオンオフ、BEEP音の音量が変更できる。

で、このキーボードだが、今回用意した780円のJP配列キーボードで一体どれがどのキーなのか、キーバインドがわからずに困った。

具体的には、PC-8001のCTRL、カナ、GRAPHICなどである。


結論から書くと、CTRLはCaps Lock、カナは左Ctrl、GRAPHICは左Alt,

ESCはTab、HOME CLRが半角/全角、STOPがEsc、DEL/INSがBackSpaceであった。

またテンキーも、当たり前だが現代のキーボードとは配列が異なっている。
テンキーはソフトによっては、コンマやドットを使うものもあり、キーバーインドをどこかで確認、もしくは設定できるようにならないと使いにくいことが予想される。

#もしくはPC-8001キーボードと同じ配列のUSBキーボードを販売とか?

VOLUMEというのはBEEP音のボリュームである。

音声についてだが、デフォルトではHDMIからの出力しかない。

#デフォルトでは!?

つまりHDMIから音声出力がないモニターなどでは、BEEP音、PCG8100とも鳴らない。

RESETであるが、このメニューの状態でキーボードのSHIFT+RETURNでエミュレーターがリセットされる。押した瞬間にリセットされ、PC-8001の起動画面に戻されることになる。

詳しく調べていないが、どうもコールドリセットされてしまうようだ。

ホットリセットが出来ないのは痛い。

#著作権の問題かもしれないが。

 

PCG8100

ここではPCG8100の設定ができる。PCG8100を動作させるかどうか。

PCG8100を前提としないゲームなどでカナ文字を表示させるようなゲームの場合は、オフにして使用しよう。脱出・死の青木ヶ原や、京都ミステリーツアーなどがそれだ!!

動作同様にPCG8100をオン、オフでき、キャラクターグラフィックを戻したり出来る。

PCGを使用しているゲーム中に、オフとすると、PCGがオフの状態でのキャラクターグラフィックによるゲーム画面となる。

ジャンパーはオンにすると、ソフトウェア上でPCGの使用、不使用を選択できるようにするものだ。PCGを通常使用するならオンで良いだろう。

VOLUMEはPCG8100に搭載されているCTC8253による音声のボリュームである。
先程も書いたがHDMIからしか音声が出ていないので注意

MACHINEと同様にここにもRESETがあるが、このリセットはPCG8100をリセットするもので、PC-8001のエミュレーションをリセットするものではない。

 

MEDIA

ここではCMTイメージを管理できる。

CMTイメージはパーティション1の方、FAT32のWindowsでもそのままマウントできるパーティションの中にあるPCMというディレクトリの中にあるものが表示される。

しかし注意点があり、ファイル名が2バイトコードのファイルは表示されない。つまりファイル名に日本語が使えない、さらに()など記号が使えない。

サブディレクトリは使えた。

既存のCMTイメージをセットした状態としてエミュレートするだけではなく、CREATEでは空のCMTイメージを作成し、そちらへエミュレータ上で作成したBASICやマシン語のプログラムを保存できる。またCREATEではサブディレクトリの作成も可能だった。

それぞれのメニューは見てもらえばわかると思う。消去や移動や名前の変更などが可能だ。

ATTRIBは属性変更で、そのCMTイメージに書き込みを行う場合、上書きをするのか、追記するのか、書き込み禁止にするのかを設定できる。

またF12から使用できる16本の収録されたゲームを起動すると、MACHINEからエミュレータをリセットしない限り、このMEDIAはタブとして消去される。

恐らく著作権の問題で、CMTとして保存することを避けるためだろう。

 

STATE

現在のエミュレータの状態を保存、再開できる。(所謂どこでもセーブ)

こちらはF12で起動したゲームの状態も保存可能。



メニューからはサブフォルダの作成やATTRIBによる上書き保存の禁止などを変更したりが可能。

ちょっと注意なのだが、CREATEを行ってもファイルが作成されるだけで、セーブされているわけではないということ。

ファイルを作成し、SAVEを選んで初めてステートセーブされる。

#うっかりセーブされたと思って消えてしまった。

セーブではF9を押して展開されるメニューの直前状態が記録され、ロードした場合はメニューを閉じた直後にその状態で再開される。

#なので「このステートセーブ、どんな状態だっけ?」ということを確認する方法がない。

メニュー以外にエミュレータが一時停止するような方法があると楽だと思った。

さて、思いの他レビューが長丁場になりそうなので、後編へ記事を繋ぎたいと思う。

次回はいよいよ、CMTイメージをCMT形式に変換する「CONVERT」からだ。

内藤時浩さんのあの新作ソフトの動作確認レビューもしてみたので、乞うご期待!

 

ゲーム保存協会 副理事長
福田 卓也

【PasocomMini PC-8001使用レビュー】素人でもきちんと動かせるか!?(超スーパーウルトラ入門編)

ゲーム保存協会は、先日「NECパーソナルコンピューター PC-8001誕生40周年記念記者会見」に出席し、メディアレビュー用の試作機としてPasocomMini PC-8001を贈呈いただいた。

>レポートはこちら

 

素晴らしい機会をいただいたので、正会員メンバー数人によるレビューを何回かに分けてご紹介したいと思う。
この記事は、予備知識ゼロ、普段は仕事でWindowsパソコン使う程度、パソコンマニアの人から見たら怒られそうな一般人がPasocomMiniで遊べるものか、果敢に挑んだ、ひとつの格闘の記録である。

 

PasocomMiniって何ができるの?

PasocomMini。
それは単純にミニチュアだけではなく、当時のパソコンの機能がエミュレーションで動くらしい。私が知っているのは、その程度の理解力だ。
このちっこいサイズがどうやって動くの?何に使えるの?と全くイメージができなかった。
会見当日、聞いた話だとこんなことができるらしい。

 

・流行りのファミコンミニなどの類と同様、往年のゲームがプリセットで遊べる
・当時のPC-8001と同様にプログラミングができる
・当時のPC-8001オリジナルのプログラムデータを持っている人は、PasocomMiniでも動かせる

 

初心者の自分としては、まず起動して、ゲームを遊ぶことが第一目標。
まずは始めないことにはわからない!まず開封してみることにした。

PasocomMiniの中身をカパッと開けてみたところ…基盤にしか見えない。
8001ミニチュア部分の蓋は、マグネット方式になっている。

PasocomMiniはどうも「Raspberry Pi(ラズベリーパイ)」(以降ラズパイ)というものからできている、らしい。スイーツな名前にしか聞こえないが、ラズバイとは、伝え聞くところによると、どうも小さいパソコンのこと。この基盤が、そうらしい。
Pasocom mini PC-8001は小さいので、物理的にいわゆる8001のミニチュアに格納できるようにするため、ラズパイの中でも小さい「Zero WH」というタイプを使ったそうだ。

 

最初の難関!?ケーブルはどうする?

まずは、どうやって動かすの?ってところから始まる。
一般的なパソコンのカタチしかわからない人にとって、扱いが方がイメージできない。しげしげと眺めても、どうやって電源入れて、キーボード入力して、動かせるのか、まったく想像がつかない (笑)。まるで初めてスマホに触るご老人の気分だ。
皆目見当もつかない筆者は、渋々と(?)同梱の小さいマニュアルを読むことにした。

PasocomMiniの背面に端子が3つ。内訳は、ミニHDMIとmicro USBが2つらしい。

 

マニュアルをしげしげと読むこと5分。必要なケーブル情報は以下の通り。

マニュアル接続説明

マニュアル接続説明

1 .モニター用(ミニHDMI端子)

筆者が所持している当然HDMI端子であり、ミニHDMIなるケーブルはない。手持ちのHDMIを使う場合、HDMI⇔ミニHDMIで繋げるケーブルが必要ということだ。
今回、片側のHDMI端子をミニHDMIへ変換する、変換アダプタを購入することにした。

2 .キーボード用(microUSB端子TypeB・その1)

所持している無線キーボード用に使用。そのために、USBレシーバーを使いたいが、どっこいレシーバー差込口はmicro USBではない。どうすりゃいいんじゃい。
調べたところ、microUSB端子をUSBが差せるよう、変換アダプタがあればいいらしいが、あいにくこちらも持ち合わせはない…これも購入リストへゴー。

3 .電源用(microUSB端子 TypeB・その2)

これは、PasocomMiniの本体の電源供給のために必要。
micro USBケーブル ACアダプターを使用するが、数年前のAndroidスマホユーザーなら、持っている人も多いと思われる。これはすぐにわかった!筆者はPS Vitaのmicro USBケーブルを使用した。

正直、1と2はどうったアイテムを用意したらいいのかわからず、混乱した。
持ち合わせのアイテムを見て、「変換アダプタがあればいい」と知見者からアドバイスをいただいいてなければ、もう少し手間取っていただろう。

 

気づくのが遅くなったが、PasocomMiniを開封したがいいが、動かすためのアイテムが不足していることが判明(遅い)。
こうしてはいられない、ジリジリ太陽が照り付ける真夏の日差しの下、近所の某電気屋へレッツゴーだ。

 

だが、電気屋に着くと、今度は売り場のどこに目的の商品があるのか、わからない。
店員さんに、予めマニュアルを撮影した写真を見せて、ようやく該当ケーブルの売場に案内いただいた。
ありがとう店員さん。電気屋さんでどの電球買ったらいいかわからず、実物を持ってきて店員さんに対応する電球を購入するおばあちゃんの気分でしたよ。
ちなみに、USB-microUSB変換アダプタはモバイル売場、HDMI-ミニHDMI変換アダプタはTV売り場エリアで見つけたゾ!

 

そして、帰宅。長い道のりであったが、ついに接続へ…!
今回のために用意したアイテムはこちら。

1 . 左下:ディスプレイ用 HDMI⇒ミニHDMI変換アダプタ
2 . 右下:キーボード用 USB-microUSB変換ケーブル
3 . 上:電源用 MicroUSBケーブル+ACアダプタ(持ち合わせのもの)

NECダイレクトのプレミアムパッケージで買うと、今回必要なケーブルとキーボードが付いてくるらしい。PasocomMiniはじめてセット、いわばスターターキットとして使えるってことか。

 

ここで、マニュアルについて要望を2点ほど。
1つめは、必要なケーブルと繋ぎ先がわかる、接続図が欲しい。よくAVレコーダーのマニュアルにテレビとレコーダー本体のケーブル接続図ついてるじゃないですか、あんな感じで。直感的に、一発でコレ!って知りたいのだ。必要なケーブルの型番のみ記載し、ケーブルのイラストがあると嬉しい。

2つめは、pdfマニュアルデータが欲しい。同梱のmicro SDカードに入っていたら良いな。
いやね、コアユーザー層が40代以上のアダルトなお年頃だとしたら、この小さい文字…辛くないかな?視力…つまり、ろうが(以下略)。無粋な話かもしれないが、ちょっと心配。

使う人がわからず挫折したら、とっても残念なので、もっとユーザーフレンドリーになって、使える人が増えたらいいな。

 

準備は出来た、いよいよ接続…できるの?

お待たせしました、いよいよ接続!

まずは同梱のmicroSDカードを装着する。
当初、この基盤、手で触ってもいいのか、電気でビリっとやられないかオドオドしたが、…そんなことはなかったようだ。

実は同梱のmicroSDカード、最初は何に使うのか、イマイチわからなかった。何かのセーブをするために使うのかな?と想像していた(マニュアルを必要な時しか読まないタイプです)。
マニュアルを読むと、どうやらこのmicroSDカードにパソコンPC-8001を動かすソフト一式が入っていたらしい!なんということだ。てっきり、このラズパイっていう基盤にプログラムのチップでも組み込まれているのかと思ってた。我ながら無知とは恐ろしい。このちっちゃなmicroSDカードに地と涙の結晶、技術が結集しているとは、凄い時代になったものだ。

間違ってデータ壊したらどうしようと震えたものの、PasocomMini公式サイトでどうやらバックアップ・リストアツールがあるらしく、安心。…いちいち小心者である。

 

ではいよいよ、ケーブル接続だ。で、ここで1つ疑問が。電源スイッチないんだけれど、どうするんだろうと。またもやマニュアルを読む(こればっかり)。
ふむふむ、ケーブルを差せばすぐに起動するらしい。え、そうなの、電源ボタンなくていいの、本当にそんなんでいいの?
どうもこの電源ケーブルは最後に差すらしい。…手順を間違ったらと思うと怖い。

手順がわかって、まずは手前の黒いケーブルのHDMIを変換アダプタで装着。
次に白いケーブルのmicroUSBで無線キーボードのレシーバーを装着!

そして最後は、電源ケーブル。これを差すだけでホンマかいな…ブルブル…
左下の白いスイッチボタンで電源入ってくれませんかね(無理)。

意を決してmicroUSBケーブルを差し込み、いざ行かん!
ハル研のコピーライト画面が出た後…

 

うおおおおおーー!!
無事に画面が出ました、PC-8001のBASIC画面が!!やりましたよ!
最後に愛は勝つ(by KAN)。

PasocomMiniのレビューをいくつか見たけど、皆さん普通に使っていた…のは、知識の歴然とした差だろうか(苦笑)。

 

自分は手間取ったので、備忘録を兼ね、PasocomMini PC-8001全体構成の図解が欲しくなって、簡単にまとめてみた。
初めての人が、一人でもPasocomMiniが使えるように、起動できるといいのだが、参考になるかな?

 

これも知っている方から聞きましたが、どうもこのラスパイのOSはLinuxってやつらしい。Linuxは、教えてもらったけど、自分が全く使ってないからきちんと頭に入ってない。いつかわかるようになるかな?

 

起動したら、何はともあれゲームをプレイだよっと

さて、いよいよ起動したら、まずはゲーム!
BASIC画面が表示されているが、以下のキーを押すことで各画面へ移動できる。

F12 ゲーム選択画面へ
F9 マイコンミニPC-8001セッティング画面へ

PC-8001マイコンミニは全16種類のゲームがプリセットされているものの、全てレビューすると、かなりの長文になるので、今回はいくつかピックアップ。
主観的ではあるが、初プレイでもわかりやすいと感じたゲームは、勝手に初心者向け★レビューをしてみた。星の数が多いほど、すんなり遊べたゲームである。その他、いくつか操作方法がわからなかったものがあったので、簡単に補足した。

【平安京エイリアン】初心者向け:★★★

私は初めてやったのですが、穴掘りと穴埋めのタイミングがなかなか難しい~。
しかも4段階くらいで完全に穴、そして埋めるという形なので、途中経過で放置する場合の使いどころもありそう。敵の足止めかな?

 

【モールアタック】初心者向け:★★★★★

いわゆるモグラタタキ。これは小さい子供でも楽しめるでしょ!
画面もカラフルでかわいらしい。起動画面でゲームルールをよく見ると、マイナス点をつけられるヤツがいるらしい。単純なモグラタタキとマイナス点、そしてスコアが上がるとスピード+数が増えることで、子供はもちろん、友達とのスコア対抗にも良さそうなゲームだった。

 

【LUNAR CITY SOS!!】初心者向け:★★★★

月面基地を守るゲームで、シューティングっぽいゲーム。一番ハマった(笑)。
最初、敵は空母艦のような形態で、攻撃が当たると、敵がアメーバーのごとく、分裂。第二形態、第三形態と変化し、最後は小さいすばしっこいヤツに。これを撃退すると消滅。お掃除ゲームのようだ (笑)。
躓いたのは、起死回生のバリアーを張る「GRAF」キーが、今のキーボードだと、どれか見つからなかったこと。プレイ中に色々キーを試してみて、20分後くらいに、「Alt」をキーだったことが判明。ゲーム選択+簡易マニュアル画面のどこかに補足して欲しいところ。

 

【SPACE MOUSE】初心者向け:★★★★★

どこかで見たゲーム…と思ったら、その昔、PC-8801「ジーザス」(ENIX)の序盤で、このゲームをプレイしていた。芸夢狂人さんの作品で、敵を避けつつ、パワーボーナスを取りながら、ひたすら屋上を目指し250階を上るというルール。わかりやすく、今回入っているゲームの中でも、もっともシンプルなゲームという印象。スコアは、115階までしか行けませんでした。

 

【走れ!スカイライン】初心者向け:★★★

なんと、このために日産自動車に許諾まで取ってしまったという、色々な意味で凄いゲーム。いわゆる疑似的3Dを表現したレースゲームで、こちらもキー操作で少し悩む。
「Shift」+「カナ」で何かをロックするらしいが、まず何をロックするのかがわからない。速度をロックするのかな?でもShiftキーを離すと速度固定になるし、今のキー配列だと「Shift」「カナ」は遠いしで、結局使いどころがわからなかった。

 

【オリオン80】初心者向け:★

最初のゲーム選択画面に、操作方法・ルールが書いてあるが、このゲームはとにかく説明・キー操作が多い。10回くらい反芻して読んだが、どうプレイするのかが結局わからず。マニュアルを横に置いてプレイしないと、これは厳しそう。
う~ん、これはどう考えても硬派な紳士向けゲームに違いない。

どうも聞いた話によると、マニュアルがしっかりとしたゲームで、それありきのゲームだから難しいとのこと。なるほど、材料が少なすぎてわからないわけか。誰かに指南してもらうか、マニュアルを入手したいものである。

 

ゲーム操作で、まさかの落とし穴!?

ゲーム全体の操作で、細かいところで気になったことが2点あった。
1つは、ゲーム選択画面で「ゲームを起動しますか?」確認ウィンドウが出てくるんだけど、何故デフォルトが「いいえ」になっている。できれば「はい」で1ボタン1プッシュで進めたいなぁ。違うキーをいくつか押してといけないのが、なんとなく進めにくい印象があった。

 

あともう1つ、ここで間抜けなハマリを体験した。マニュアルを読んでも、ゲーム終了=PasocomMiniの終了方法。つまりエミュレーターのリセット方法がわからなかったのだ。

 

ゲームを遊んで、PasocomMiniを終了する手順としては、以下の通り。

・F9キーを押してセッティング画面へ行き、リセット

・BASIC画面表示中に、F10キー長押しでPasocomMiniを終了

だが、F9キーを押してもまったく無反応。なんで!?と半泣きになり、30分ほどハマリ状態になったが、ようやく判明。

どうやら「ゲーム選択画面」ではF9キーを押すと無反応だが、「ゲームプレイ中にF9キーを押す」必要があったらしい。ようやくセッティング画面へ移動、F10キーで無事にBASIC起動画面が表示され、終了できた。
こんな落とし穴にハマるのは筆者だけかもしれないが、間違ってもケーブルを抜いて電源を落とさないように注意だ!

 

ゲームを終了し、ゲーム選択画面で「F9」キーを押しても無反応。 左下にあるF12キーは前の画面に戻るが、ひとつ前のゲームプレイ画面に戻ってしまったので、出口がないハマリ状態に陥った

 

ゲームプレイ中の画面で「F9」キーを押すとセッティング画面へ移動できた。
F7/8で「MACHINE」を選択、「Shift」+「Return」でエミュレーターがリセットされ、ようやく起動時のBASIC画面へ移動することができた。その後はF10キー長押しで終了できる

 

そうそう、ゲームとは関係ないところで、私が知らないだけだと思うのですが…
画面スクリーンショットの保存方法が知りたい (笑)。

 

ゲームのもう一歩先へ

今回のPasocomMiniは、マイクロソフト社のN-BASICを搭載しているのがウリなので、BASICを打ち込んだり、PC-8001プログラムデータをPasocomMiniに移すなど考えたが、現時点ではまだ、理解しきれていないので、他のメンバーへ、バドンタッチしようと思う。

自分が最も気になっていたのは、PC-8001ソフトをPasocomMiniで動かるかどうかってこと。皆さん、当時のソフト、パソコン本体の保全には苦労していると思う。自分がリタイヤした時に、遊べる環境があった方が絶対いいよね。
これも人づてから聞いた話だと回答としては、これは可能。ソフト録音データをWAVデータにしちゃえばオッケー、それをPasocomMiniのSDカードに入れて、セッティング画面でCMTファイルで実行するらしい。

後日1人でやったらうまくできなかったので、何度かトライが必要かも。PasocomMiniがもし将来、単体でも販売されるようなことがあれば、入手して動かしてみたい。

今回はこのようなお察しレベルの、BASICを打ち込んだ。こんにちはマイコンのような教本が必要だ


まとめ―
―結局のところ、初心者は使えるか?

ミニコンの仕組み、PC-8001、BASIC言語に親しんでいる人なら、おそらくPasocomMiniは簡単に遊べるモノであることは間違いないのだろうな、と感じた。ただ、もしスマホも満足に使えないような、例えば自分の親なら100%無理だなと思ったのも事実。まず動かすことに慣れることが必要だ。

 

自分はトンデモないところで躓いたので、同好の士と一緒に動かして遊ぶか、『PasocomMiniマニュアル教本』 のようなリファレンスブックがあれば、安心だと思う。
ただ、現在のネット社会なら、ユーザーが増えれば、みんなでwikiのような形で、情報を持ち寄り、共有していくのが良さそうだ。できることが増えると、人は楽しくなり、それを伝えたくなる。ユーザーの裾野も広がり、文化を継承する力も大きくなる可能性が出るのでは?そんな未来に期待したい。

 

最後に。
この記事を書く前、「こんな初心者レビュー、ゲーム保存協会の記事に詳しくないのでは」と躊躇したが、「絶対に初心者向けのレビューは必要」と強く推薦した、理事メンバーに感謝いたします。勇気を振り絞って筆をとることができました(笑)。
またPasocomMiniに興味があるけど、ハードル高そうで不安という方がいらっしゃいましたら、この記事を笑読いただき、手を取るきっかけの一助となれば嬉しく思います。

最後まで読んでくださった方、お付き合いいただき、ありがとうございました!

 

ゲーム保存協会 おれふつう河本

「NECパーソナルコンピューター PC-8001誕生40周年記念記者会見」に出席に寄せて

9月に入り、残暑が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
さる2019年8月5日、ゲーム保存協会は光栄にも「NECパーソナルコンピューターPC-8001誕生40周年記念記者会見」にご招待いただきました。日本のパソコン文化の歴史の歩みと、それに関わる多くの人達に温かく祝福された素敵な会見でしたので、皆さまにレポートいたします。
80年代からのマイコンファンとして、少しでも会場の雰囲気とワクワクした気持ちを共有できますと嬉しく思います。

展示の様子

会場では、NEC歴代のパソコンが、当時の流行・文化の年表とともに展示されていました。
TK-80から始まり、PC-8001、PC-6001、PC-9801などのマイコンから近年のパソコンまでがズラリと並ぶ姿は圧巻でした。(PC-88がなかったのが少し寂しかったです。笑)

TK-80/PC-8001の前身であるトレーニングキット。後述の西氏スピーチで語られるが、左上から4番目に空のソケットが見える

 

PC-6001

PC-6001/熱狂的なファンも多い、愛称はパピコン

PC-100

PC-100/アスキー創業者・西氏スピーチで語られたWindows1.0世界1号機、世界初マウス・インターフェース

そして今回のイベントでお披露目になった記念モデル「LAVIE Pro Mobile」。

40th-model

PC-8001をオマージュしたカラーリングのデザインで、機体にはキラリと光る旧NECのロゴが入っているシックなデザイン。本体もかなり軽く、男女年代問わず持っていて違和感がありません。「欲しい」と思える、シンプルイズベストという言葉がぴったりの非常に美しいパソコンでした。

そして皆さんお待ちかねのPasocomMini PC-8001です。

pasocomMini

操作方法がわからなかったので、ハル研のスタッフの方にサポートしてもらいながら、いくつかゲームを遊ばせていただきました。
せっかくですので、少し「平安京エイリアン」を遊んでみました。実は初プレイでしたが、なかなか奥が深く、何度もプレイしてしまいました…!

 

会見の流れ

時間になり会見が始まりました。会見の流れは以下の通りでした。

・デビット・ベネット社長のご挨拶
・元日本電気支配人の渡辺和也(わたなべかずや)氏のスピーチ
・元日本電気PC-8001開発者の後藤富雄(ごとうとみお)氏のスピーチ
・アスキー創業者 西和彦(にしかずひこ)氏のスピーチ
・新製品プレゼンテーション/炎神(えんじん) 総合プロデューサー森部浩至(もりべひろし)氏
・エンディング(デビット社長の挨拶)

 

―デビット・ベネット社長のご挨拶

デビット社長は日本語がとても堪能で、NEC PCのヒストリーから、今回のPC-8001 40周年イベントの主旨、40周年記念 限定モデル「LAVIE Pro Mobile」の発表がありました。デビット社長もPC-8001と同じ1979年生まれで、運命的なものを感じました。デビット社長が限定モデルのパソコンを立ち上げた際、旧ロゴ「NEC」が表示されて会場では歓声が上がっていました。ちょっとしたサプライズでした!
PasocomMini PC-8001は、購入者キャンペーンでプレゼント。こちらはPC-8001をエミュレーションし、しかも当時マイクロソフト社が開発したN-BASICを搭載するとのこと。これは凄い話です。

 

―元日本電気支配人の渡辺和也氏のスピーチ

PC-8001誕生までのお話を拝聴しました。
当時、市場の強い要望に応え、TK-80上位機種を求める声が高まったことがPC-8001誕生の背景になったとのこと。NECは技術情報を積極的に開示し、結果サードパーティと共存共栄したことが成功の秘訣だったようです。TK-80の解説本「マイコン入門」は、松本清張の「砂の器」と並んでベストセラーとなり、当時のパソコンの熱いムーブメントを感じますね。

PC-8001発売にあたり、基本ソフトの必須条件としていたのは2点。

1 . 出来るだけ多くの人に使ってもらうため、将来デファクト・スタンダードに近づけるもの(技術優位よりユーザーフレンドリー)
2 . 使用実績があり、バグ取りがかなり進んだもの(前機種では、かなりバグが多く、非常に苦労した)

結果、マイクロソフトのN-BASICを選択しましたが、当時のマイクロソフトは当時立ち上がったばかりで、従業員規模は12、3人と小さかったため、「取引するのはマズイのでは?」という声もあった苦労を語られました。PC-8001発売後もオープンポリシーを継続し、サードパーティーと共存することがNECのトップシェアをキープする要因となった、とのことでした。
40年も前に積極的に技術開示をする姿勢は、非常に先進的に感じられ、パソコン文化を盛り上がげていったのも自然だなと頷けました。

 

―元日本電気PC-8001開発者の後藤富雄氏のスピーチ

担当技術者として、どう関わったかのお話をいただきました。
後藤さんは、学生時代まではコンピューターが一切なく、NEC入社後にPDP-8(DECが製造したミニコンピューター)をしゃぶりつくすように研究したのがきっかけ。
マイクロウェーブのNECということで憧れて入社したものの、実際はマイクロエレクトロニクス、半導体事業部へ配属。しかしそこには、素晴らしい先輩・仲間、若い技術者を大切にされた素晴らしい環境があったとのことでした。
九州日本電気へ出向すると、LSIテスターを行って、コントローラはしゃぶりつくしたPDP-8を使用。コンピューターのハード・ソフトを独習していったのです。

マイクロプロセッサが誕生すると、マイクロプロセッサを使う人に教育をしなければいけないということで作ったのがTK-80でした。
そして、PC-8001へ繋がったのは、ホビイストが集まる秋葉原のBit-Inn。その中で聞いたところ、遊びの訴求ではなく、実用になるような、しっかりとしたものを作ってほしいとの要望がありました。そのためには、超強力なBASICが必要で、西さん、渡辺さんとの出会いがあり、ビル・ゲイツさんの所まで飛んでいき、やりましょうという話になった。フロッピーやディスプレイなど、色んなハードを動かすことを実現できるのはマイクロソフトのBASICだけだったのでは、としみじみ語っておられました。

最後に、今までのパソコンは個人の知的能力を拡大する道具だったが、これからは、ネットワークで繋がったPC・モバイルは、地球規模での人類の知的能力、コミュニケーションを拡大し、人類が抱える問題を解決できる可能性がある、との話で締めくくりました。
後藤さんを取り巻く素晴らしい人々と、未来の光を感じさせるような素敵なスピーチとなりました。

 

―アスキー創業者 西和彦氏のスピーチ

西さんからはNECを外から見たお話をされていました。
独特の語り口調と憎めないキャラクターで、ビル・ゲイツ氏との出会いや当時のパソコン変遷を面白く語られ、会場を沸かせます。

原点はアマチュア無線で、西さんはTK-80を見て「へぇー!」と非常に感動。よく見ると、TK-80は空のソケットがあり、「ここにBASICを乗せよう!」と思ったのが全ての始まり、だったとのことでした。
その後は、アスキーでも初期パソコンが出るたびに、酷評レビュー。渡辺和也さんがオープンマインドな方で、「悪口を書いてもってこい」とのことで、素晴らしいと思ったそうです。

ついには僕たちで理想のパソコンを作ろう!ということで、ビル・ゲイツ氏と話をして「こういうパソコンを作ろう、NECへ提案に行こう」と言って出来たのがPC-8001だった、とのことでした。その後も次々にNECへ提案を持って行って、マイクロソフトのコラボレーションがありがたかった、とのこと。
印象的だったのは PC100の提案で、これはWindowsパソコンの世界1号機。Windows1.0 が動き、マウスも動いて、凄かった。NECはPC-9801で一本化され、政治によってつぶされたとのことでした。マイクロソフトでは新規事業を担当。その後も、WindowsとCD-ROM、半導体、デジタル オーディオ・ビデオ、タッチスクリーンの携帯など多くの事業を手掛けられたお話をしました。そして40年前から一緒にタッグを組んだ後藤さんと一緒に、これからはIoTということで活動中です。

西さんも後藤さんも40年経っても変わらず、現在進行形で新しい技術に対して、意欲的に取り組んでいらっしゃるので、まさに生涯現役といった印象です。
決して昔の語り草ではなく、過去、現在、そして未来まで。まるで一緒にタイムマシンに乗っているような心持ちで、身が引き締まる思いでした。

 

―新製品プレゼンテーション/炎神 総合プロデューサー森部浩至氏

森部さんからは新製品のプレゼン。前段の背景として、パソコンは、ツールからパートナーへ進化していき、今後は「Pro(ワークスタイル改革)/Education(教育改革)/Home(ライフスタイル改革)」の3軸をフォーカスしていくというお話がありました。
そして、最後にサプライズ。なんと、どこかで見たようなロゴが映し出されました!

当協会のルドン理事長も大好きな、あのゲームハードを彷彿とさせますね(笑)。
今後はNECとしてもゲーミングPCを展開していくとのことで、かなりインパクトのある発表でした。

 

なお、各登壇者スピーチの合間には、関係各社からのビデオメッセージが流れ、マイクロソフト、インテルから、なんとマウスコンピューター、富士通など、競合会社の方も含めて、会場の場を和ませるメッセージが寄せられました。

印象的だったのは、富士通からのコメントです。NECを「お兄さん」、富士通を「弟」と呼び、終始お兄さんの後を追いかけ、伴走し、切磋琢磨してパソコン業界を築いた軌跡をお話いただき、会場では、この真剣な「お兄さん」語りの絶妙な可笑しさに、会場は笑いに包まれました。

 

そして最後は、デビット社長の挨拶。
「炎神」について。よく「NECはゲーミングPCは作らないのか」と聞かれるが、実は40年前にゲーミングPCを作っていた、それがPC-8001。だからゲーミングPCの名前は炎神・フェニックスとし、ゲーマーを満足させるものにするとのコメントがありました。
今回の40周年は、NECだけではなく日本のPC業界、皆でお祝いしたかったので、このように各社からのメッセージを集めた、日本のメーカーが本気になれば、世界が動く製品になるはず。それをやりますので、期待してくださいと、力強いメッセージで締めくくられました。

終了後は、出席者の懇親会が開催されました。
電波新聞社の大橋編集長が乾杯の音頭を取り、ベーマガ復活の狼煙を上げた「電子工作マガジン」が非常に好調で、ファンの注目を集めていることをPR。多くの関係各社・人達から支えられ、今日を迎えられたという暖かい気持ちのまま、和やかな雰囲気で会場を後にしました。

 

会見に出席して

貴重な会見に出席させていただき、関係者の皆さまには改めて深くお礼申し上げます。
パソコンの歴史書を紐解く瞬間に立ち会えた心持ちです。

 

40年以上も前から綿々と情熱を注ぐ作り手、メーカー、そしてパソコンに魅了されて盛り上げていったユーザーの皆さん。今のIT業界のリーダーシップを取っている方々からのビデオメッセージを見ると、「あぁこの方もNECのパソコンで育ってきたんだなぁ…」と共感し、じんわり嬉しくも暖かい気持ちがこみ上げてきました。
今日の日本パソコン文化を牽引した立役者は、NEC抜きでは語ることはできません。

 

TK-80を経て、改めてフォーカスされた、NEC初の本格的なパソコン「PC-8001」。
記事を読んでいる方の中には、「何故PasocomMiniは、PC-8001なの?」と思った方もいらっしゃるかと思います。ですが、PC-8001・40周年記念会見が、テレビのニュースでも報道され、話題になったことは、日本のパソコン文化の原点に立ち返り、非常に重要で、意味のあることのように感じます。
また当時のマイクロソフトと協業して作られたN-BASICが搭載されたPasocomMiniで、現代の技術環境で動かせるというのは、改めてとても感動的な気持ちになりました。

 

ゲーム保存協会は、次世代へ日本のパソコン、ゲーム文化を伝えるためのPasocomMiniに期待を寄せており、今回も資料提供など協力をさせていただきました。
これもひとえにサポーターの皆さんのご支援があって、本プロジェクトへの協力・支援に繋がったと実感しております。

 

支援してくださる方々のパワーが集まって大きくなり、確実に成果となって実を結んでいます。自分も参加したい!と思った方は、サポーターとしてご支援いただけますと幸いです。メンバー一同の励みとなり、より一層の成果となるよう活動に取り組んでまいります。

★サポーター参加はこちらから

今回の記者会見の出席者には、PasocomMini PC-8001本体がレビュー用試作機として贈呈されました。今後もゲーム文化の保存の一助となるPasocomMiniを応援すべく、保存協会メンバーでの使用レビューを記事にしたいと思いますので、どうぞ楽しみにしていてくださいね。

 


【関連サイト】
・NECダイレクト 40周年記念 限定プレミアムモデル
・ハル研究所 PasocomMini公式サイト