当協会におけるサムネイル画像使用のガイドラインについて

非営利活動法人ゲーム保存協会では、以下のルールを定め、ゲームカタログにサムネイル画像を掲載する。

・一般公開用のサムネイルは100dpi以下とする。また、成人向けコンテンツのサムネイルは、一般公開とはしない。

当協会はこれらカタログ作成を文化庁のメディア芸術アーカイブ推進支援事業の一環として作成しており、サムネイル画像公開についても文化庁の監督に従っている。よって、これらは適正な仕様の範囲であり、非公開にしてほしいというリクエストは文化庁側での対応となる。

当協会は、ゲーム文化の保存を目的とし、その一環として収集したゲーム資料が劣化・毀損しても復元できるように、表紙のデジタルデータ化を進めている。公開用サムネイルはこれを利用したものだが、公開されたデータから複製物が作られることを避けるため、解像度は下げてある。

文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業とサムネイル画像使用の法的根拠について

資料:デジタルアーカイブの構築・共有・活用ガイドライン 10-11ページ (参考情報:アーカイブ機関におけるデジタル化の法的根拠)より

メディア芸術アーカイブ推進支援事業は、上記ガイドラインにおいて定義されているように、「官民データ活用推進基本法」の趣旨を踏まえ、デジタル情報資源を広く社会に提供することを目的としたものである。このガイドライン内では、サムネイル画像の利用における法的根拠について、著作権法31条第1項第2号を援用している。

著作権法では第30条~50条にて権利の一部制限を認めているが、この第31条においては、「図書館等」が保存のために「絶版等の理由により一般に入手することが困難な貴重な所蔵資料」をデジタル化することができるとの解釈が示されている。この主体は長らく公営の図書館等施設とされていたが、平成27年文化庁告示第30号において、この「図書館等」の概念が拡張されており、営利を目的としない法人により設置されたものも含まれるようになった。当協会のアーカイブもその対象である。ただし、著作権法が定める著作者人格権を侵害するもの、例えば非公開の著作物にたいしてはこの著作権の制限は及ばない。

なお一般論として、商品パッケージの識別機能を鑑みて、慣習としてこれらには著作権の主張を行わないことが常態化している。たとえば、インターネットのショッピングサイトにおいて、商品のサムネイル画像が無断で使いまわしされている状況が問題視されることは寡聞にして聞かない。一方、商品の表紙を商業印刷物に無断掲載することがパブリシティ権(顧客吸引力を中核とする経済的な価値)の侵害に当たるのではないかと問われることがある(著名なものとしては、キング・クリムゾン裁判 東京高判平11・2・24 平成10年(ネ)第673号など)。しかし、当協会の事業は上述の通り文化庁の事業によるもので、そもそも営利を目的としてものではないため、パブリシティ権侵害の余地がそもそもないことは言うまでもない。

関連情報:著作権法における引用について