事業を支えるお金のお話

ゲーム保存協会が目指すゲームアーカイブとデータベースは専門性が高く、イメージとしては博物館や美術館が所蔵品を管理するやり方に似ています。

なぜここまで精密な資料の確認と情報の登録を行うのかといえば、ゲーム保存協会が設立してからずっと守ってきた「ゲームを文化財として未来に残す」というポリシーがあるからです。

子どものころ親しんだ玩具や、昭和の懐かしい思い出として語られる80年代ビデオゲームは、今後50年、100年、1000年という時代を経て、20世紀以降の技術や文化、文明の在り方を証言する貴重な歴史的文化財になって行きます。博物館や美術館は、美術品や芸術作品を保存する際、たとえそれが最近作られた新しい作品であっても、ほかの歴史的資料と同じく丁寧に保管し、数世代先の人々がそれを見て何かを学べるよう備えています。ゲームも同じで、これから先、どのような資料にどういった歴史的価値が見いだされるかはわからず、少しでも多くの資料を残すことに大きな意味があります。

大切な資料も、ただ残すだけでは誰にも利用されずに忘れられてしまいます。詳細情報を掲載したカタログの公開や、使いやすいデータベースを用意することで、資料活用の可能性はどんどん広がって行きます。また、国内海外を問わず、大量の文化資料を保管する機関では、昔から戦争や自然災害、一般的な火災から人災、さらには劣化による自然消滅など、様々な理由で大切な資料を破損したり失ったりするリスクを抱えてきました。ルーブル美術館や大英図書館など、貴重な作品群を保管するアーカイブ機関はどこも、こうした場合に備え、資料のデジタル化を進めており、ゲーム保存協会でも貴重な資料のデジタル化を行っています。

すべての作業には膨大な手間暇がかかり、優秀な無償ボランティアがたくさんいたとしても、作業に係るこまごまとした消耗品の準備が必要です。データベースを公開するには、インターフェイスの開発が必要ですし、集中した長時間作業が必要となる資料のカタログ化やスキャニングは、完全無償で担当者に負担を強いることは不可能です。未来にゲームを残すためだけに地道な作業を続けるアーキビストを支える資金が必要になります。

文化庁から出る補助金は、現在、こうした活動を支える重要な資金源となっています。

各年の実際の経費の内訳は以下の通りです。これらの経費のうち、自己負担分以外を文化庁の助成で賄っていますが、実はこの助成金は事業がすべて終わった後に支払われるため、事業報告を終えるまでは自己資金で作業に対する工賃など必要経費を支払わねばなりません。

数万本のゲーム資料を一つずつ手作業で確認して情報登録や保存を行う取り組みは、幸いなことに年々範囲を拡大し、実りある成果も出ています。ですが、これからもこうした取り組みを続けるためには、皆さんからのご寄付ご支援が必要です。助成金が実際に支給されるまでの間の作業費を支えるため。また、助成金が補填してくれない各種手当などを支えるため。あるいは、まだ助成がついていない別の保存活動やアーカイブ事業を支えるため。

まずはサポーター会員に登録して、年3,000円から、こうした活動をぜひ一緒に支えてください!


資料閲覧:2017年度・助成事業収支報告書
資料閲覧:2018年度・助成事業収支報告書
資料閲覧:2019年度・助成事業収支報告書


リンク:

文化庁メディア芸術アーカイブ推進支援事業
アーキビストの仕事(カタログ編)

文化庁メディア芸術データベース(β版)
文化庁・メディア芸術の振興