イベント「フロッピーディスクの技術とマイグレーション」

昨年12月22日 篠崎文化プラザ・第二講義室にて開催いたしましたイベント「フロッピーディスクの技術とマイグレーション」の講演時に使用しましたスライドを資料として公開させて頂きます。
資料配布は当日参加の方からの希望も多く、当協会の活動に興味を持たれている方や当日イベントへ参加できなかった方などへも、技術や情報、協会の活動を広く一般公開させていただきたいと考え、このような形で公開させて頂きました。
イベントからかなりの時間が経過してしまってからの配布となったことをお詫びします。

当協会の掲示板にあります「シーラカンスの図書館、知識データベース」内のトピック「2012年12月イベント「フロッピーディスクの技術とマイグレーション」資料の配布」よりダウンロード可能となっています。
スライドをpdfとして掲載しています。
掲示板、トピックへは特別にユーザー登録など必要ありません。ダウンロードに関しての制限もありません。
資料内およびトピック内にも記載しましたが、本資料はBSDライセンスにしたがって配布させて頂きます。
資料の内容に関しては無保証であり、資料の閲覧、再配布は自由ですが、ライセンス条文と著作者の表示をその条件とします。

また、今回の資料中には過去に発売された雑誌や書籍の図表を引用しています。
それぞれの図表は著作者および販売元が権利を有していますが、利用は非営利の教育目的であり、著作物に対しての部分使用であること、また著作権所有元に対しての不利益を被る範囲ではないと判断し、フェアユースの範囲での使用です。
著作権所有者様より使用の停止、削除要請があります場合はご連絡をお願いします。速やかに対処させて頂きます。

また既にtwitter上などで、資料単独の配布では情報が少ないという御言葉を頂いております。
資料を補足、説明するドキュメントを作成し、配布させていただきたいと考えています。
今後同様のイベントは研究、開発の進展内容を追加し、適宜開催させて頂きますので、ご興味のある方は今後のイベントへご参加下さい。

ゲーム保存協会 理事 福田 卓也

イベント「フロッピーディスクの技術とマイグレーション」のお知らせ

日ごろNPO法人ゲーム保存協会の活動に関心をお寄せいただいております皆様に、イベントのお知らせをいたします。

前回は盛況の中、アーケードゲーム保存活動としてデコ・カセットシステムについてご報告させていただきました。
今回は話題を過去の国産PCゲームで広く使用されたメディアであるフロッピーディスクへ焦点を合わせて報告させていただきます。
2012年5月にもフロッピーディスクメディアに関する問題点を報告させていただきましたが、今回はメディアの劣化対策や保存方法は割愛させていただき、デジタル保存(マイグレーション)の話題を、その技術、問題点を中心に報告させていただきます。
当協会でフロッピーディスクのマイグレーションを行うデバイスとして推奨していますKryoFluxと呼ばれるフロッピーディスクコントローラとダンプされたStreamファイルの説明、さらにそれらから作成されるIPF(Interchangeable Preservation Format)ファイルの解説を通じ、これらの方法で行うマイグレーションの必要性などをお話させていただきます。

また当日は実際のオリジナルゲームディスクから、KryoFluxを利用したダンプ、そしてIPF形式への変換とその実機での使用を実演させていただきます。
ゲームに関わらずフロッピーディスク保存にご興味ご関心ある方はぜひ会場にお越しください。

みなさまのご来場をメンバー一同心よりお待ちしております

日程:
2012年12月22日(土)
13:30開始(16:00頃終了予定)

場所:
篠崎文化プラザ・第二講義室
http://www.shinozaki-bunkaplaza.com/

参加無料・予約等なし

ゲーム保存協会 福田

イベント【アーケードゲーム保存の問題と対策】実施報告

今回のイベント内容についてご報告をする前に、一つだけ皆様にご通達事項がございます。
いつもイベントにて当団体の連絡先などお配りしておりますが、メールでご連絡をいただいた方のなかに、当方からの返信メールが届かない方がいらっしゃいます。
当団体宛にいただきますメールアドレスの中に携帯メールアドレスや電話番号など、こちらからのメールがうまく送れなかった場合にご連絡できる別のアドレスをお伝えいただけますと大変助かります。

さて、10月14日に開催したイベントは、会場の椅子がほぼ満席となる盛況ぶりでした。ご参加くださいました皆様、本当にありがとうございます。
今回のイベントでは、かねてよりゲーム保存協会が取り組んできましたデコカセットシステムをメインに、古いゲーム機器の再生復活のためのさまざまな保存修復技術をご紹介しました。
デコカセとよばれるこの業務用ゲーム機器の特殊性や魅力、保存の意義を確認しながら、実際に残された機器の劣化の現状、それを修復するために必要となる特殊な技術や部品の復刻など順を追ってご説明いたしました。
80年代の奔放なイマジネーションと豊かなクリエイティヴィティが生み出したユニークなゲームとゲーム機器は、放置すればゴムローラーが劣化して溶け出したり、デッキ内部にゴミがたまったりして、どんどん動かなくなっていきます。
ゲーム保存協会では、多くの方々と協力して、この特殊なゲーム機器の修理復活の方法を作っています。
デコカセ用の特殊なパーツ類はゼロから作り直し、特注しています。
カセットのデータも今後も修理修復ができるように専門的に解析し、職人の細やかな手作業で見事に生産当時のきれいなカセットの状態に戻すことができます。
イベント会場では、実際にデコカセ作品も稼動させながら、多くの方と情報交換をさせていただきました。
現在、団体ではデコカセ作品のうち約9割を無事に保存し修理することができました(小カセとよばれるシステムに限ります)。

イベント内でもお話しましたが、デコカセを修理するためのパーツにはいくつか特殊なものがございます。
たとえばカセットを回すローラー部分は、ゴムが劣化して液体化するケースが多く、故障の一番の原因となります。
このゴムローラーは代換できる同型のものが存在しなかったため、ゼロからパーツを生産することとなりました。
現在も、修理のたびに必要となる重要なパーツですが、特殊な部品ということもあって、生産数が少ないと単価が上がってしまう悩みがあります。
またカセット内にもいくつか特殊なパーツがございます。
通常の音楽用のカセットテープすら生産が終了し一部入手が困難になってきましたが、たとえばデコカセ専用ヘッド部分のフェルトは一般的に買うことができず特注となります。
現在このフェルトについては、団体内に部品の在庫がまだありますので、しばらくは安心ですが、カセットテープの生産終了および昨年のタイでの大規模な洪水による工場喪失によって、フェルトの供給について今後が危ぶまれます。
私たちはこうした事情を考慮し、修理修復に必要な資材の情報をきちんと残し、後々にもそれを元に再現ができるように心がけております。
また、修理にかかる費用を少しでも抑えるためにも、ゴムローラーなどの特殊パーツについて、修理やストック用も含めたパーツ購入希望の方を募って、ロット数を増やして注文をすべく、調整を行いました。

もし、デコカセのソフト(大カセを含めて)をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡をお願いいたします。
たとえ難しい劣化状況で壊れて動かなくなっていたとしても、ゲーム保存協会にご連絡をいただければ、修理・修復ができる可能性がございます。
当団体では修理の内容によって部品代等実費のみいただく形で修理など承っておりますので、まずはお気軽にご連絡をください。
ユニークなゲーム作品を一つでも多く後世にのこすため、ぜひよろしくお願いいたします。

ゲーム保存協会 ルドン