文化庁アーカイブ推進事業 2020年度ご報告・ニュースレターvol.13発行のお知らせ

日頃より当協会をご支援いただき、誠にありがとうございます。

ご報告が遅れましたが、2020年度・文化庁メディア芸術アーカイブ推進事業の活動が2月末で無事終了いたしました。
最新号のニュースレター GPS News vol.13では、メディア芸術アーカイブ推進事業の詳細報告をまとめています。
会員の方以外でもどなたでも、PDFダウンロードしてご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

ニュースレターVol.13 PDFのダウンロードはこちら

2020年度のアーカイブ推進事業では、以下6つの活動がありました。
①パッケージの電子化
②データベースへの情報入力
③同梱資料の登録
④書籍情報の目録作成
⑤半導体メモリの目録作成
⑥磁気媒体電子化情報の登録

特に大きな成果があったのが、新しい取り組みとなるフロッピーディスクのデータ保存デバイス「ポリーヌ」を使った5.25インチフロッピーディスクのマイグレーションと、半導体の保存作業です。
皆さまからのご支援ならびに、日々保存活動を続けるメンバーのおかげで、無事今年度の活動を終了することできました。
この場を借りて、御礼申し上げます。ありがとうございました。

 

ゲーム保存協会のオンラインゲームカタログ公開開始

今回のメディア芸術アーカイブ推進事業の取り組みの中で、これまで4年間の作業で蓄積してきたゲームカタログの資料情報をゲーム保存協会のホームページから、カタログとして皆さまにお使いいただけるようになりました。
現在掲載中の情報は、一部のみとなりますが、順次アップロードの作業を進め、今後継続的に掲載資料数を増やして参ります。

ゲームカタログはこちら

【ゲーム保存協会のカタログとは
文化庁の助成事業の一環で行った各資料のデジタルスキャン画像から、資料画像のサムネイルも掲載しています。実際の資料が存在し、証明することのできる情報のみを掲載していることが、誰にでも明らかな形で示されています。
サムネイルの掲載については、文化庁から、活きたアーカイブ創造のため、ぜひサムネイル掲載をとの声があったことから、著作権ポリシーにしたがい、複製が出来ない画素数に落とした画像を公開しています。
皆さまにとって、ゲームの歴史を深めるきっかけとして、そして研究を助けるツールとして、有効活用いただければと思います。

今後とも、引き続き当協会へのご支援をいただけますようお願いいたします。

ゲームクリエイターのインタビューをまとめたドキュメンタリー映像「芸夢 [gei・mɯ] (ゲイム)」、第1弾公開

NPO法人ゲーム保存協会(本部:東京都世田谷区、理事長:ルドン・ジョゼフ)は、ゲームクリエイターにインタビューを行った、オリジナル・ドキュメンタリー映像作品「芸夢 [gei・mɯ] (ゲイム)」を2021年1月16日に公開いたしました。

日本の70年代、80年代のゲーム作品は、世界を牽引する豊かな創造性に溢れていましたが、そうした古いゲーム作品の作者や、制作の背景はあまり知られていません。NPO法人ゲーム保存協会は、ゲームとそれに関連する資料を文化財として未来に継承するため、様々な保存活動を行う非営利法人ですが、通常表に出ることのない当時のゲームの作り手にインタビューを行い、その様子をドキュメンタリーとして公開することで、そうした作者の側の歴史を残そうというのが、ドキュメンタリー「芸夢 [gei・mɯ] (ゲイム)」の主旨です。

ドキュメンタリーではインタビューした内容を、映像作品として見やすいよう構成し直し、一人のゲーム作者にフォーカスし、その人物が携わった作品群の紹介と、制作に関するお話を、協会メンバーとの会話の様子なども交えて繋いでいます。

 

第1弾ドキュメンタリー「外山雄一 ~近代のリアルタイムストラテジーゲームのパイオニア~」

今回のドキュメンタリー映像は、ゲームプログラマー・外山雄一さんにフォーカス。子どもの頃に遊んだビデオゲームのお話し、アマチュア・プログラマーとしての最初の作品、そして「ヘルツォーク(テクノソフト)」、「武者アレスタ(コンパイル)」、「蒼穹紅蓮隊(ライジング)」など、ご自身が開発に携わったゲームに関する思いを語っていただきました。
撮影中、当協会では外山さんご自身の言葉に丁寧に耳を傾け、余計な演出などは一切行わず、いただいたお話の内容をそのまま映像にまとめました。
クリエイターから見たゲームの歴史を残す活動の一つとして、ぜひたくさんの方にご視聴いただけますと幸いです。

ドキュメンタリー動画を見る

 

【動画の一部紹介】


外山さんの人となりにスポットをあてたインタビュー

身近な風景な風景を映しながらの映像

引用例:ヘルツォーク(テクノソフト:1988年発売)

引用例:武者アレスタ(開発:コンパイル・1990年発売)

引用例:蒼穹紅蓮隊(ライジング・1996年発売)

外山さん制作のゲームを副理事長と一緒にプレイする一幕も

 

当協会の事業活動と今後の展開

今回の企画は非営利保存活動及びゲームの歴史に関する啓蒙活動というNPO法人の非営利事業の一環として行われるもので、外国語字幕を付けて、まだ日本のゲームの歴史について知らない海外の人々にも広く見てもらえるよう計らい、完全無料で公開いたします。
こちらのドキュメンタリーは、当協会をご支援いただいているサポーター会員の皆さまからのご支援ご寄付により、制作されました。取り組みを応援くださっている皆さまに、改めまして心よりお礼申し上げます。
今後もこうしたドキュメンタリーを見たいと希望される方は、ぜひ、ゲーム保存協会のサポーターにご参加ください。

みなさまから頂戴します会費やご寄付が、次の作品の制作費となります。

サポーターになる


Web動画概要

芸夢 [gei·mɯ] ファイル #1
外山雄一 ~近代のリアルタイムストラテジーゲームのパイオニア~

公開場所:Youtube NPOゲーム保存協会 チャンネル内
https://www.youtube.com/c/GamePreservationSociety
動画時間:約30分(日本語字幕・英語字幕対応)
出演:外山雄一、ゲーム保存協会メンバー(ルドン、福田、佐藤)
監督:アレックス・カ
公開日:2021年1月16日(土)22時

外山 雄一(とやま ゆういち)氏プロフィール
長崎県出身・ゲームディレクター、プログラマー。
テクノソフトのアルバイトとしてMSX版「雀友」のROM化作業の後入社、「D’」「HERZOG(ヘルツォーク)」「FEEDBACK」「新九玉伝」各MSX2版を手がけた後、コンパイルに入社。「武者アレスタ」メガドライブ版、「精霊戦士スプリガン」「スプリガンmark2」PCエンジン版の開発に関わる。その後ライジングに移籍、「魔法大作戦」シリーズや「蒼穹紅蓮隊」を手がけている。現在はタイトーに在籍、「スペースインベーダー インヴィンシブルコレクション」等のディレクターとして活躍している。


NPO法人 ゲーム保存協会について

ゲーム保存協会は、ゲーム保存に関する専門技術や知識を備えた有志らによって運営されているNPOです。私たちはゲームを文化財としてとらえ、ゲーム文化を未来に伝えるために活動を行っています。

ゲーム保存協会は、主に80年代のデジタルゲーム(パソコン、コンシューマー、アーケード)を中心に、様々なバックグラウンドを持ったメンバーがジャンルを超えて知識を共有し、アクティヴィティに従事しています。

膨大な資料と専門的で特殊な問題を抱えたゲーム文化の保護と継承は、一人の人間の力ではやり遂げることができません。よりオープンに活動情報を公開し、立場を問わずゲーム保存に関心を持つ多くの人と協力する必要があります。大切な文化とその資料を未来に残すため、私たちは全力で取り組んでいます。

ホームページ:
https://www.gamepres.org/


当協会では文化庁が定める引用のルールを守ってゲーム著作物の一部を使用しています
引用に関する詳しいルールはこちら

なお、ドキュメンタリー内に登場します各ゲームの現在の著作情報は以下でご確認ください。

〔引用作品の現在の著作情報〕

スペースインベーダー (Space Invaders)
©TAITO CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED

プラズマ・ライン (Plazma Line)
サンダーフォース (Thunder Force)
ヘルツォーク (Herzog)
フィードバック (Feedback)
©SEGA

フィールドコンバット (Field Combat)
©株式会社シティコネクション

ザナックEX (Zanac EX), MSX2
©D4Enterprise Co.,Ltd.
©MSX Licensing Corporation All Rights Reserved.
‘MSX’ is a trademark of the MSX Licensing Corporation.

イメージファイト (Image Fight)
©IREM SOFTWARE ENGINEERING INC.

重装機兵レイノス (Assault Suits Leynos)
©extreme

ファルシオン (Falsion)
精霊戦士スプリガン (Spriggan)
スプリガン mark2 (Spriggan mark2)
©Konami Digital Entertainment

2017年イベント 特別講演コンテンツを会員限定で公開

こんにちは、ゲーム保存協会・広報担当です。
あっという間に年の瀬も押し迫ってまいりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

日頃よりご支援いただいている会員の皆さまへ感謝の気持ちを込めて、2017年7月22日(土)に開催された「伝説のゲームクリエイターに聞く第2弾」講演の模様を会員限定でWebコンテンツを公開いたします。
※イベント当日に展示した「ファルコム黎明期」のデジタル展覧会は2021年1月31日公開いたしました

開催当日、遠方でイベントに残念ながら足を運ぶことができなかった方、都合がつかなかった方、または当協会の活動を知らなかった方でも、ご自宅のWeb上でご覧いただけます。

一般の方は、新規サポーター登録で当協会にご支援いただくことで、会員限定コンテンツをご覧いだけます。

 

特別講演「伝説のゲームクリエイターに聞く」とは

当協会では、ゲーム作品を作った人の足跡を記録し、証言を記録し、後世に残すことを目的として、ゲームクリエイターの方をゲストにお迎えし年に1回イベント講演を開催しています。
今年は残念ながらコロナ禍の影響で開催を見合わせましたが、イベント講演はサポーターの皆さまによるご寄付・ご支援にによって実現しています。
皆さま、いつも本当にありがとうございます。

 

2017年開催イベント 「伝説のゲームクリエイターに聞く」第2弾
ゲスト:木屋善夫氏、山根ともお氏、新井創士氏

スタープログラマーとして名を馳せたゲームプログラマーで当協会・名誉会員の木屋 善夫さん、同社でグラフィックデザイナーを担当した山根 ともおさん、そして、当時から親交のあったログイン元編集長・新井 創士(ほえほえ新井)さんのお三方をゲストに招いた講演を一言一句、文字で記録したものをWebコンテンツとしてご覧いただけます。

特に木屋さん自身はこのような公の講演に登壇されることはほとんどなく、大変貴重なお話を伺う機会となりました。
副理事長・福田の司会にて、80年~90年代 日本ファルコム黄金期を築いたといっても過言ではないお二人のゲーム制作のお話、そして親交の深いログイン編集者・新井さんの軽妙なトークによって、非常に会場も盛り上がりを見せました。

特別講演のコンテンツは前後編の2部構成で、なんと各35,000文字超え!
当日映写スライドや、後半は貴重な「ギャラクティック ウォーズ1」「ぱのらま島」のゲーム動画など、3時間以上に渡るイベントの臨場感を再現したボリュームたっぷりのコンテンツです。

→【会員の方】講演コンテンツを見る(要ログイン)

※デジタル図書館>サポーター会員限定コンテンツ>2017年 特別講演 からご覧ください

 

公開記念に、目次とコンテンツの一部ダイジェストをご紹介いたします。

■目次

前編―経歴について

  • オープニング~ゲストご紹介
  • 木屋さんの経歴
  • 山根さんの経歴

後編―個別の作品について

  • 質問コーナー
  • ギャラクティック ウォーズ1
  • コンピュータ ザ ゴルフ
  • ぱのらま島
  • ドラゴンスレイヤー
  • ザナドゥ、ザナドゥ・シナリオⅡ
  • ロマンシア
  • 太陽の神殿
  • イース、イースII
  • ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー
  • ソーサリアン
  • スタートレーダー
  • ドラゴンスレイヤー英雄伝説
  • ロードモナーク、アドバンスド ロードモナーク
  • 風の伝説ザナドゥ
  • お二人にとってゲーム制作とは?

 

■特別講演 ダイジェスト「木屋さんの経歴」より

福田:で、酒のつまみ時代と書いたんですが。コンピューターランド立川のほうに、最初あれですか、P6とかで作ったソフトを持って行かれたりするのが最初だったんですか?そういうわけではないんですか?

木屋:いや、違うと思う。一番最初は、この「コンピューター・ザ・ゴルフ」というのが投稿作品で、持ち込みで入ってきたやつを「FP-1100ってCASIOのマシンに移植しないか」って加藤さんが言い出して。まぁ(本体を)貸してくれるんだったらやるよ、って言って。作り始めたのが最初ですね。

福田:え、ごめんなさい、何もプログラムができなさそうな人には、たぶんそんな話はない、ですよね?だから、なんかこう、そういう話を加藤さんとされていたという?

木屋:しょっちゅう行っていたんで、もうその頃は。で、とりあえず、6001のマシン買って、アセンブラなんかもいじっていたんで。

福田:なるほど、それで木屋さんはプログラムできるね、ということになって。FP-1100を貸してもらう。買った、いや貸してもらった感じなんですね?

木屋:そう。

福田:FP-1100って、こういうのもあれですけど変なマシンですよね?

木屋:うん、あのBCD-BASICだったかな?

福田:ああ、整数がすごい得意なやつですよね。あと、BIOS全部RAMにのっけて、変な風にしたら叩けちゃって、FM-8みたいになったやつですよね。で、そしたらFP-1100をずっと使われていた感じなんですか?

木屋:いや、その時だけ。

福田:その時だけ?ギャラクティック・ウォーズはFP-1100は別なんですか?そのマシンで作ったわけではない?

木屋:いや、ギャラクティック・ウォーズは…自分でもう88買ったんじゃないかな?買って…。

福田:じゃあ88がオリジナルなんですか?

木屋:ギャラクティック・ウォーズ?うん、だった…あ、違ったかな…覚えてないな。

(会場笑)

福田:わかりました(笑)。で、じゃあそのころから88を触られていて、コンピューター・ザ・ゴルフも88版もありますよね。

木屋:うん、でも88版は元のオリジナルなんで、投稿作品の。

福田:で、ドラゴンスレイヤーも結局、ご自宅で?

木屋:そうですね。

福田:自宅ですよね、これ。すごいですよ、自宅で作れるようなレベルなのか、という気が僕は凄いしたんですけど。

木屋:でもまぁ、ちっちゃいプログラムなんで。

福田:デザインもかなり自分でされたんですか?

木屋:えっと、それは当時のコンピューターランド立川の連中が、面白がって作ってたんで。

福田:なるほどなるほど、じゃそういうのを、じゃこれいいね!って形で採用して、入れて、って形で作って?

木屋:そうそう。

 

デジタル展覧会(2021年1月31日公開)
ファルコム黎明期-初期のゲームソフトを振り返る-

ギャラクティック ウォーズ1

日本ファルコム発のゲームソフト「ギャラクティック ウォーズ1」。左は店舗版、右は市販版と異なるパッケージ

日本ファルコム株式会社は、1981年3月に設立され、現在でも「イースシリーズ」「軌跡シリーズ」等で多くのファンを持つ老舗メーカーです。
設立
当初はコンピューター導入のコンサルティング等を行っていたが、同年7月に米国アップル社の公認代理店として「コンピュータランド立川」を設立、アメリカから輸入したハードウェアと共にビジネスソフト/ゲームソフト類の販売を行っていました。そうした中、コンピュータランド立川の顧客が持ち込んだゲームソフト類を店頭で販売し始めたのが、現在のゲームソフト開発を行う日本ファルコムの源流となっています。

イベント当日に展示した、貴重な第一弾のゲーム作品「ギャラクティック ウォーズ1」や「ぱのらま島」などの貴重な初期作品をバッケージをデジタル展覧会にてご覧いただけます。

→【会員の方】特別展を見る(要ログイン)

 

過去のイベント講演もご覧いただけます

2016年開催の日高徹さんをゲストにお迎えした特別講演、「エニックス黎明展」デジタル展覧会も会員限定にて公開しておりますので、あわせてお楽しみください。

→デジタル図書館はこちら

 

100年先の未来へゲーム文化を遺すため、これらの講演・展示イベントは、サポーターの皆さまから会費やご寄付で実現しております。
保存活動は、完全無償のボランティアがいても、工具や器材の購入、また週何日も続く作業を完全に無給でできる余裕のある人は少なく、お金がなければ活動は継続できません。
国や企業からのサポートもまだ不足しており、皆さまからのご支援が少しでも必要です。
ゲームの歴史を残し多くの人に伝えることができるよう、当協会への活動ご支援をご検討いただけますと幸いです。

最後に、当協会のご支援をいただいた皆さまに改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。
来年も真摯に活動を取り組んでまいりますので、引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。