ゲーム保存協会 Game Preservation Society

NHKワールドでゲーム保存協会についての30分ドキュメンタリーが放映されました

2017年11月28日、春からの長期取材を経て、ついにゲーム保存協会の活動を紹介するNHKワールドによるドキュメンタリー番組が完成、放映されました。
Inside Lens, Game Preservation – The Quest –

https://www.gamepres.org/media/

日本が世界に誇る一大コンテンツでもあるゲーム。社会現象を巻き起こしたインベーダーゲームから、世界的なヒットアイコンになったスーパーマリオまで、ゲームは日本のポップカルチャーの大事な一要素です。このドキュメンタリーでは、こうした日本の黄金期のゲーム作品とその歴史を保存し残そうとしている当協会の活動が丁寧に紹介されています。
あまり知られていませんが、今のゲーム文化の礎ともなった70年代、80年代の古いゲームは現在、劣化の危機に直面しています。資料の散逸も進み、何もしなければあと数年後にはゲーム黄金期を支えた古いアーケードやPCゲームは壊れて動かなくなり、二度と再現できなくなってしまいます。こうした状況に立ち向かうために作られたのが、ゲーム保存協会です。
ドキュメンタリーでは普段はあまり表に出ない協会のメインメンバーたちも紹介され、失われつつある古いゲーム文化とその資料をどうやって残しているのか、修復やアーカイブの作業風景などを見ていただけます。
ドキュメンタリーの中で高井商会の高井さんが語る通り、ゲームの保存にはお金がかかります。本来であれば国などが博物館として資料を守っていかねばならないところですが、そもそも「国」を作っているのは私たち一人ひとりの国民。
このままでは、浮世絵のように資料が散逸し、日本の文化財がこの国からなくなってしまいます。ドキュメンタリー最後に理事長のルドンは次のように語っています。
“ 日本には日本人にしかない感性があります。日本のゲームには日本人にしか作れないような作品があるんです。こうした独自の歴史から再び学び、新しいものを作っていくことはとても大切で、だからこそここ日本での活動に意義があるのです。”
ゲーム保存協会の活動は、はじまったばかりです。日本だからこそ作れた作品をどこまで残せるかは、これからの活動展開にかかっています。そして歴史的ゲームへの再評価が国をも動かす文化的ムーブメントになるかどうかは、実はこの国に暮らす私たち一人ひとりの国民の力にかかっています。
現在、政府ではクール・ジャパン戦略の一つとしてゲームなどサブカルチャーに関する様々な取り組みをはじめていますが、漫画やアニメなどの表現形態にくらべると、ゲームに対する対応は後手に回っているのが現状です。資料の劣化や散逸状態がひどいゲームを考えると、今のままでは文化保護は確実に手遅れとなってしまいます。
ゲーム保存協会はNPOです。市民が、市民とその未来のために積極的に動くことで成り立っています。私たちはこれからも活動を続けますし、国とも積極的にやり取りを続けます。資料の危機的状況を正確に伝え、博物館やアーカイブ、図書館といった資料を永続的に守れる公的な枠組みを得られるよう真摯に取り組んで参りますので、ぜひ皆様お一人お一人の力を貸していただきたいのです。
活動への協力の仕方は様々です。
ゲーム保存協会の取り組みを周囲に拡散いただくことも一つですし、ゲームの歴史や文化に対する関心を他の方々と共有いただくことも一つかと思います。でも、私たちがいま一番必要としているのは、実は、保存活動を支える資金です。
ドキュメンタリーでも映っていた通り、ゲーム保存協会が保管する資料は劣化を避けるための特殊な容器に一つずつ丁寧に収納されています。紙媒体、磁気媒体など媒体ごとに分け、最大限劣化の原因となるガス等の排出を抑える工夫をしていますが、こうした容器は決して安くはありません。
また、活きたアーカイブを維持するため資料はすべてQRコードで管理していますが、資料ごとにつけられる識別番号のシールなど細かな消耗品も多数ございます。
デコカセなど修理が難しい機器には、特殊な用具が必要で、時には生産が終了しているパーツの再生産を行うことも。
どんなに情熱を注いでボランティアで作業にあたるスタッフがいても、その活動を支えるための資金がなければ、実際の作業は進められないのです。

現在、ゲーム保存協会の活動に賛同いただける方に、年会費制のサポーター会員への参加を呼び掛けております。1年に1度、3000円、4000円といったお好きな金額でご寄付をいただき、協会の取り組みを支えていただくシステムで、参加された方には活動内容を伝えるニュースレター、どのように寄付が使われているのかお確かめいただける決算報告などを差し上げております。
「誰かがやっているから、安心。」ではなく「これからも続けてほしいから。」の一言が、ゲームを未来に残す鍵になります。
ぜひ、ご参加をお願いいたします。

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ゲーム保存協会 Game Preservation Society

ゲーム保存協会についてのドキュメンタリーが放映されます

今年の春より長期の密着取材を受けていたNHKワールドのドキュメンタリーが、ついに放映されます。

NHKワールドTVにて、
11月28日(月)10:30-10:58 / 16:30- 16:58 / 19:30-11:58 / 04:30-04:58
の各時間帯に流れ、NHKワールド公式アプリやホームページからLiveでご覧いただけます。
ケーブルテレビをお持ちの方は是非番組の録画を。
ドキュメンタリーの言語は英語です。

放映日から2週間を過ぎますと、視聴ができなくなります。放映日当日のテレビでのご視聴をおススメいたします。
番組詳細についてはこちら(英語・予告編映像がご覧いただけます)
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/tv/lens/315_28.html

teaser

28分に及ぶこのドキュメンタリーでは、ゲーム保存協会の実際の活動内容をご覧いただくことができます。

ゲーム保存と言っても、私たちゲーム保存協会が扱う「ゲーム」は多種多様。専門的な内容も多く、実際に何をしているのか想像しにくい部分もございますが、こちらのドキュメンタリーでは、メンバーらがどんな風に日々ゲーム保存活動を進めているのかが丁寧に映されております。

ちなみに映像の中で使われている素敵なドットアニメは、世界的に人気の「洞窟物語」を作った天谷大輔さん(開発室Pixel)が作ってくださったもの。
監督はマリー・リントン。半年間、団体活動に寄り添い、丁寧な取材を重ねてくださいました。

ゲーム保存に挑む人々の活躍を描いた長編ドキュメンタリー、所々に挟まれるキュートなアニメーションもぜひお見逃しなく!

ゲーム保存協会 Game Preservation Society

5周年記念特別講演「元プログラマー 日高 徹氏に聞く」を終えて

ゲーム保存協会は毎年7月末に1年の活動報告と研究報告を行っております。本年は活動開始より5年という区切りの年であり、これまでの報告とは趣向の異なるイベントを開催したいと考え、ゲストを迎えての講演を企画しました。

今回、パソコンゲーム界で活躍し、深く業界に携わってこられた方として日高徹さんへ講演の依頼をさせていただいたところ、快くご承諾頂き、7月30日に講演会を開催することが叶いました。

左から理事の福田、日高氏、理事長のルドン

左から理事の福田、日高氏、理事長のルドン

当日は13時より開場し、資料展示室を設け、日高さん所縁のゲームや資料を展示させていただきました。
展示室にはPC-8801を2台用意し、処女作であるホーンテッドケイブと2作目のマジックガーデンを起動させ、多くの方に楽しんで頂くことができました。

また日高さんにご持参いただいた当時の資料を公開し、御自身がゲームプログラミング解析を行った宇宙の戦士(岡田良行氏作、エニックス販売)のフローチャートを始め、ホーンテッドケイブのグラフィック資料やソースリスト、北斗の拳の作成資料を展示させていただきました。
更にはガンダーラのソースリストや原作・グラフィックを担当された槇村ただしさんのキャラクターデザイン画、音楽担当であったすぎやまこういちさんの手書き譜面なども御用意いただき、これらの非常に貴重な資料を多くの方々にご覧いただけたかと思います。

マジックガーデン開発資料

ゲーム保存協会からは所蔵しているエニックス販売ゲームの貴重な初期版バッケージを数多く展示しましたが、残念ながら日高さんの資料の前には霞んで見えてしまいました。

第1回ゲームホビープログラムコンテストの受賞作品の展示

第1回ゲームホビープログラムコンテストの受賞作品の展示

14時から日高徹さんによる講演を開催しました。60名ほど収容できる会議室を利用しましたが、ほぼ満席となる盛況ぶりでした。

講演は日高さんの歴史を振り返るところからお話を伺いました。

不思議な巡り合わせでゲームプログラマーとなった経緯や独立後エニックスを中心に活動されていた頃のエピソードなど興味深い内容が次々に明らかになるお話でした。
ゲームプログラマーとなるまでインベーダーブームのころも含め、テレビゲームに全く興味がなく遊んだこともなかったということでしたが、にも関わらず非常にゲーム性の高い作品を発表されておられることに驚愕しました。
続いて自身の作成されたゲームや技術協力をされたゲーム、多くの名著書について、一つひとつ解説を頂き、技術的な説明、出版の経緯や苦労された点などの貴重なお話を頂きました。
次にゆかりの深い方々として、エニックス創設メンバーやプロデューサーの方々、同時期に活躍されたプログラマー・ゲームデザイナーの方々についてお聞きし、知ることの出来ない人となりや思い出をお伺いすることができました。
講演を通じて感じたのは、人との出会い・関わりを大切にし、強い意思でやり遂げる力をベースにチャンスを巧みに掴んで来た日高さんの人生でした

最後に「日高さんにとってゲームプログラミングとは?」という問を投げかけさせて頂いたところ、「プログラミングそのものがゲームである」という、最も日高さんらしいお答えで講演終了となりました。

講演会

会場から直接質疑を行う予定でしたが、司会進行の不手際で時間を設けることが出来ずに終了となりましたことをお詫びします。
日高さんからは著書を参加者へのプレゼントとして提供いただき、会場全体でじゃんけんを行って4名の方へプレゼント頂きました。
会場クローズまで書籍やソフトを持ち寄った方へ直接サインを頂戴するなど、参加された方々は時間目一杯まで楽しんでいただけたことと思います。

終了後は居酒屋で打ち上げという形で二次会を行いました。
こちらの席でも講演ではお話いただけなかったようなことも飛び出し、つい興奮して飲み過ぎてしまいました。
講演を終えて、日高徹さんを始め、会場へ参加くださった多くの方々へ感謝いたします。

ゲーム保存協会はゲーム保存活動や研究のみならず、講演などを通じて歴史の一ページを残し、伝えていく活動も、精力的に開催させていただきたいと考えております。
今後共、よろしくお願いいたします。
当日に質疑の時間が取れず、SNSにて事前に質問いただきました内容を後日日高さんよりご回答をいただきました。
以下、質問と回答を記載させていただきます。

福田と日高氏

GPS

■PC-8801のFDD周りの解説に関して、日高さんがなかなか執筆されなかったのはどうしてでしょうか?
【答え】
FDD周りの解説となれば、どうしてもプロテクト関連の話題に触れなければならない…けど、その部分に関しては興味も知識もないので書けなかったということです。単にセーブ/ロードであればすでに書籍として出版されていたし、自著としてのオリジナル性を示せなかったのが最大の理由です。要するに実力不足です。

■運転免許証のフルビッターはまだ継続されていますか?
【答え】
普通免許から取得した時点で原付や小特が不要…というか取れなくなるため、厳密には全項目のフルビッターではないのですが、まだ全種類を保有しています。ちょうど今年が更新年で、4月に左目の手術をしたのも誕生日までに回復することを考慮した上での決断です。ギリギリでしたが視力検査に合格し、あと5年間は全種類保有者ということになります。

■Z80の未定義命令を使用しないポリシーは市販ソフトを開発する立場として正しい姿勢だったと認識しておりますが、未定義命令を使用しているソフトも多かったと思います。結果論ですが、日高さんのソフトは速度的に不利であったのではありませんか?
【答え】
他のソフトが未定義命令を使っていたかどうかは全く知りません。自分的には未定義命令に魅力を感じたことはなく、ましてやそれが速度的に不利になる…と実感することは有り得ないと思っています。速度の差を実感するほど高速化するには、小手先のことではなくアルゴリズムを全面的に見直さない限り無理…というのが私の考えです。
もし処理内容が同じで他のソフトより実行速度が遅いと感じられたとすれば、それは未定義命令不使用のせいではなく、単にプログラミング技術が劣っていたということです。

■「マシン語秘伝の書」は様々な意味で日高徹節が炸裂している名著と思いますが、投稿形式の質問者の質問文もすべて日高さんのオリジナルでしょうか?
【答え】
拙著はすべて私の考えたオリジナル文章です。ゴーストライターを雇えるほど印税がもらえればよいのですが、この手の理工学書でそんなことをすれば手元には一銭も残らないでしょう。
それから、かつて某編集者にも「日高節が…」というようなことを言われたことがあります。自分では真面目で平凡な文章だと思っていたので、何が日高節なのかよくわからないのです…が、もしかすると昔読んだマンガや受験時代の深夜放送、あるいは学生時代の特異な体験が風変わりな思考回路を形成してしまったのかもしれません。

■マジックガーデンはプレイ中、キャラクターの動きに合わせて特徴的な曲がBEEPサウンドで演奏されますが、これは日高さんのオリジナル曲でしょうか?BEEPサウンドのドライバなどもオリジナルですか?
【答え】
苦労して作曲したオリジナルです。その数年前に行ったディズニーランド(ロサンゼルス:まだTDLはない時代)の「It’s a small world(小さな世界)」が気に入っていたので、どこかにそのイメージがあるような気がしないでもありません。BEEP音のサウンドドライバは、オリジナルとはいえマシン語を覚えるキッカケとなった「宇宙の戦士」のドライバがベースになっています。

■ガンダーラはなぜあんなにスクロールが遅いのか?
【答え】
「遅い」とか「速い」というのは比較の形容詞なので、同じ設定で画面スクロールをさせたゲームを具体的に挙げてもらわないと何とも答えようがありません。
「ガンダーラ」は横8ドット(縦4ドット)のスクロールですが、これを単純に16ドット単位にすれば倍の速度で動くことになります。また、グラフィック的には全画面を完全に動かしてスクロールさせており、同一パターンを多用する部分描き替えスクロール(普通は16ドット単位)より凝った画面構成が可能です。速度が目的なら画面構成は単調ですが後者のほうが有利です。
基本的に「ガンダーラ」のスクロールは移動中のドラクエ画面に敵を表示するというイメージです。そのため、開発中にスクロールが遅いという指摘を受けたことはありません。つまり、純然たるアクションゲームではなく、大きなキャラで敵の動きや攻撃を視覚的にリアルに楽しめるような設計なのです。
もちろん、そうしたコンセプトを受け入れるかどうかはユーザーサイドの問題ですので、遅いというご指摘であれば作り手側の根本的なゲーム設計ミスということになります。
ちなみに、敵キャラの画面エンド処理は、プログラミングが多岐に渡って面倒だったというだけで、スクロール速度とは無関係です。
※あくまでもテスト版ですが、部分書き換えによる16ドット高速スクロールを実現したサンプル・ディスクが手元に残っています(ガンダーラ後に試作)。技術的には私にもできたのですヨ!…ということで、機会があればお見せすることも可能です。

■プラジェータの開発苦労話、今だから話せる苦労をお伺いしたい。初期の広告グラフィックとは異なり、キャラクターの解像度を落としたりしたものも高速化・省メモリ化のための苦労だったのではないでしょうか?
【答え】
「プラジェーター」は、最終的にはグラフィックツールとデータ圧縮技術の提供だけで、製品となったプログラムには一切関わっていません。初めてシャープX1上で動く戦闘シーンを見たのが1985年ころ。結果として商品化までに5年近い歳月が流れていることが、とりもなおさず苦労のすべてということです。

ゲーム保存協会 福田